まちと交通 2001年10月 6号
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12 TTRI Letter No.6研究員レポート 2高齢者・障害者等の外出行動に関する調査・研究~豊田市におけるアンケート調査結果から~(3)外出時の要件 調査では、自分の外出したい時、自由に外出できるかどうかを尋ねている。分類別(高齢者は年齢別)の結果を示す(図3-3-1)。「ほぼ自由に外出できる」割合は、介護保険適用者の39%を除き、障害者、高齢者共に80%以上である。高齢者では、65~69歳の95%を最高に高齢になるにつれその割合は低くなる傾向があるが、85歳以上でも82%と高い割合を占めている。 また、その理由を選択肢の中から複数回答してもらった(図3-3-2,図3-3-3)。外出できる理由としては、「自分で自動車等を運転できる」割合が、障害者、高齢者で最も高く、それぞれ46%、39%、全体では44%を占めている。また、「近くにバス停・鉄道駅がある」、「家族等が連れていってくれる」割合は共に20~30%を占め、障害者、高齢者の交通手段の多様さがうかがえる。介護保険適用者においては、「家族等が連れていってくれる」割合が67%、最も多い回答となっている。 外出できない理由としては、「外出時に介助者が必要」割合が、障害者、介護保険適用者で最も高く、それぞれ51%、62%、全体では38%を占めている。高齢者においては、「近くにバス停・鉄道駅がない」割合が39%と比較的高く、居住地域によって、バスや電車の公共交通に対する不満があると想定される。4. おわりに 本調査研究は、高齢者、障害者及び介護保険適用者の分類において、自動車や公共交通機関を利用した外出について、外出頻度の観点から、外出行動の基本的な特性を明らかにした。その中で特徴的なことを以下にまとめておく。◆ 高齢者・障害者の3人に1人以上が車を保有していて、そのほとんどの人は外出時に車を運転する。◆ 高齢者・障害者の運転免許証を持っていない人のほとんどは、外出する際、家族等による送迎や公共交通等に頼っていて、外出頻度は、免許を持っている人の約半分の週2.6回程度である。◆ 主な外出目的は、高齢者・障害者は共に「買物・飲食」、「通院・リハビリ」、「仕事」等であり、介護保険適用者は、「通院・リハビリ」と老人福祉施設、老人保健施設の「デイサービス」等である。◆ 自由に外出できる意識は、高齢と共に低くなる傾向があるが、80歳以上の高齢者や障害者でも8割以上が自由に外出できる意識がある。その反面、介護保険適用者は、約4割程度である。 今後の課題としては、高齢者・障害者の外出する具体的な目的地や外出時間等のより細かな外出行動や居住地域による特性を捉えることにより、その有効な移動手段の方策を見出すことであろう。ほぼ自由に外出できる    自由に外出できない介護保険適用者障害者65~69歳70~74歳75~79歳80~84歳85歳以上全体38.6%      81.9%       95.0%       94.8%       91.6%      84.5%      82.0%      86.8%61.4%      18.1%      5.0%      5.2%      8.4%      15.5%      18.0%      13.2%高 齢 者介護保険適用者障害者高齢者全体0%     20%     40%     60%     80%    100%0%     20%     40%     60%     80%    100%0%     20%     40%     60%     80%    100%複数回答分 類46.3%         32.6%      25.6%   10.3%38.7% 24.0% 33.4% 7.7%15.3%  13.0% 67.2% 17.6%44.1% 30.6% 28.1% 10.2%自分で自動車等を運転できる  近くにバス停・鉄道駅がある  家族が連れていってくれる  その他介護保険適用者障害者高齢者全体複数回答分 類外出時に介助者が必要病気・けが等で体調が悪い自宅を留守にできない寝たきり近くにバス停・鉄道駅がない家族等に頼むことがためらわれる特殊車両を必要としその確保ができない(困難)その他12.6%    38.7% 27.7% 20.2% 17.8% 50.9%   25.0%  21.4%  18.8% 62.4% 4.9% 21.5%  7.3% 38.1%  23.9%   24.2%   15.3% 図3-3-1 分類別外出の自由度図3-3-2 分類別外出できる理由図3-3-3 分類別外出できない理由11.7%13.7%

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