まちと交通 2001年10月 6号
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8 TTRI Letter No.6ニュース「ぷらっとモール」に「すまいるトラム」が走る! ~福井市のトランジットモール等社会実験~福井市の中心には、通称「駅前電車通り」という路面電車が乗り入れている道路があります。この空間を「ぷらっとモール」として路面電車を活用した日本で最初のトランジットモール等社会実験が行われました。平成13年10月12日(火)~11月4日(日)までの24日間、中心市街地の活性化に向けて実施されたこの実験は、歩行者ネットワークの構築、公共交通アクセス体系の整備、市民参加による賑わいのあるまちづくりの推進をおもな目標としています。期間中は、運賃100円のシャトル電車「すまいるトラム」2両がこれに合わせて運行されました。これには、名古屋鉄道㈱から借り受けた新型低床車両1両、福井鉄道㈱が所有するレトロ調の小型電車1両が使われました。また、福井鉄道沿線の4箇所には無料駐車場が設けられ、「パーク・アンド・ライド」も実施されました。福井市は路面電車を保有する日本でも数少ない都市(20都市)の一つであり、今後のまちづくりへの活用が期待されています。20年以上も前からこの道路空間の将来構想について、トランジットモール化も視野に入れて議論されてきました。昭和63年には、「コミュニティマート構想モデル事業」の検討の中で、鉄道事業者も加わり、駅前商店街振興組合によりトランジットモールの導入が提言されました。しかしその後、自動車交通の増大ならびに中心市街地の衰退を背景に、今回実験が行われている支線部分の撤去も議論されました。当時は路面電車を活かして新たな第一歩を踏み出すための仕組み・支援制度がなかったため、トランジットモールは実現化することはありませんでした。しかしながらその後、「都心交通改善事業」(平成7年)、「路面電車走行空間改築事業」(平成8年)をはじめ、平成11年度から新しい道路施策について社会実験が実施されるようになり、今夏には平成13年度社会実験実施地域に選定されたのを一つの契機としてようやく実現化したものです。ちなみに日本では、浜松市や奈良市、岡山市などでバスを活用したトランジットモール社会実験が行われていますが、未だ本格的に実施されている都市はないようです。写真1 電車&バス写真2 電車&日本・世界の路面電車展福井市ホームページで公開中:(http://www.city.fukui.fukui.jp/rekisi/tyusin/)文・写真:福井大学工学部助手 川本 義海(元(財)豊田都市交通研究所研究員)写真3 入口看板パンフレット

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