まちと交通 2016年11月 57号
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読者の声写真1/シニアのための運転技術講習会の一幕図1/研究活動の狙い57号●発行/(公財)豊田都市交通研究所 ●発行人/専務理事 今枝 真一 ●発行年月日/2016年11月15日 ●編集/松本 宏克●お問合せ/〒471-0024 愛知県豊田市元城町3-17元城庁舎西棟4F TEL.0565-31-8551 FAX.0565-31-9888 URL http://www.ttri.or.jp/ E-mail machi@ttri.or.jp研究所活動報告■高齢者講習とは? 70歳以上の運転免許取得者は、免許更新に際して「高齢者講習」の受講が義務づけられています。この講習は、検査機材を使用した視力や反応速度の測定、実際に運転している状況を確認する運転行動診断、75歳以上は講習予備検査が実施され、高齢ドライバー自身が運転行動の実態や身体的な状況を確認し、安全運転に活かしてもらうことを目的としています。※1 さらに、豊田市役所では毎年「シニアのための運転技術講習会」を開催するなど、実車体験や講義を通じて安全運転の方法を確認する体験会が全国各地で催されています。※1:平成29年3月から講習内容が変わります。■研究活動の狙い 高齢者講習や体験会は、爆発的に増加している高齢ドライバーへ安全運転を推進する機会でありますが、もう少し未来を想像すると自身の運転技術を踏まえて運転ができなくなった後、免許を返納した後の移動手段を考える絶好の機会でもあります。 そこで、これまで研究分野ではあまり活用されてこなかった高齢者講習結果を用いて高齢ドライバーの運転特性を分析するとともに、様々な関係機関と協力して手段選択の機会創出にチャレンジしています。(1)高齢ドライバーの運転特性を分析 豊田市に居住する高齢者は、市内2校および近接市の自動車学校で高齢者講習を受講することができます。今回は、豊田市の都心部に近接し、市内全域からのアクセスがよいトヨタ中央自動車学校にご協力をいただき、高齢者講習結果の収集とアンケート調査を行っています。収集方法は、講習を受講される高齢者お一人ずつに協力依頼を行い、ご承諾を頂けた方の講習結果をコピーさせて頂きます。さらに、運転免許の返納意向や健康状態などについてアンケート調査を実施しているので、運転特性(講習結果)との関連性を分析していく予定です。(2)手段選択の機会創出 高齢ドライバー自身の運転技術を確認する機会と併せて、自動車以外の移動手段について情報を得ていただく機会を創出するため、豊田市役所が実施している「シニアのための運転技術講習会」にて公共交通に関する情報を提供させていただきます。また、地域の自治区や高齢者クラブを対象として、公共交通の解説や乗車体験を行う出前教室を企画し、これまで利用してこなかった公共交通に触れてもらう機会を検討しています。これらは、市役所・自動車学校・バス事業者など様々な主体が連携して推進していくことになります。利用者評価と併せて、取組みの課題や持続可能性などを明らかにしていきます。 今回は、活動内容のご報告となりますが、分析結果がまとまりましたら本誌などでもご報告申し上げます。研究部主任研究員 樋口 恵一高齢者の安全な移動環境の創出に向けて ~高齢者講習結果を活用した高齢ドライバーの運転特性の調査・分析~ 先日、読者の方から次のようなご意見をいただきました。 「今回(56号)の記事の「タクシーを活用した外出支援策の可能性」は日頃から大変関心があり、具体的な活用を考えていました。今私(66歳)はマイカーでどこへでも出かけていますが、いずれ車が運転できなくなる時が来ます。しかし、そのときでも外出はしたいので、ドアツードアのタクシー利用がもっとも最適です。市からの支援があるとありがたいです。バスを安く利用する制度はすでに全国でも実現されています。しかし、バスは老人には不向きです。タクシーの支援制度を至急実現していただきたい。」
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