まちと交通 2016年11月 57号
5/6

四季折々コラム写真1/WCTRSで発表する福本写真3/上海の夜景写真2/中国の高速鉄道(新幹線) 57号が発刊される頃、木枯らし1号の便りは届いているでしょうか?木枯らし1号は、西高東低の冬型の気圧配置になり、概ね8m/s以上の北寄りの風が初めて吹いた時に発表されますが、発表は東京(10月半ば~11月末)と大阪(霜降~冬至)のみで、この地方では“吹かない”のです。 “寒い北風”が吹き始める時期ですが、冬型の気圧配置は長続きせず、暖かく穏やかな日もやってきます。小春日和です。小春とは旧暦10月の異称で、小春日和も晩秋から初冬限定です。 また、秋の日は釣瓶落としと言われるように、あっという間に日が暮れる季節です。11月になると日の入り時刻は16時台になります。「とよたの交通事故」によれば、1時間当たりの交通事故死傷者数は16時~18時の時間帯が最も多くなっています。日没が買い物や帰宅などの時間帯と重なる時期であり、路面の凍結によるスリップにも注意が必要になってきます。あらためて交通安全に心がけましょう。晩秋から初冬へ事務局長 田口 厚志研究部主任研究員 福本 雅之第14回世界交通学会(WCTRS)への参加研究員報告◆学会参加報告 2016年7月10~15日の間、世界交通学会(World Conference on Transport Research Society:WCTRS)に参加しました。世界交通学会は、交通に関する世界最大の学会であり、3年に1度のペースで国際会議が開催されています。今回は、14回目の大会であり、中国・上海市の同済大学で開催され、65カ国から1,200件近くの発表が行われました。当研究所からは2編の論文発表を行いました。1つは「The mobility of the elderly people in the Hilly and Mountainous Areas of the Toyota city(豊田市中山間地域の高齢者の移動)」という題目で、安藤が発表を行い、もう1つは、「A Method for Identi-fying the Potential Sites of Trac Accident Based on Risk Assessment(リスクアセスメントに基づく交通事故発生可能箇所の特定)」という題目で福本が発表を行いました。それぞれ、発表後に質疑応答を行い、豊田市の高齢者の外出支援に関する政策や、交通安全に関するデータの入手方法などについての質問がありました。◆上海の公共交通 学会の行われた上海市は、人口2,400万人の中国最大の都市であり、経済発展に伴う旺盛な交通需要に対応するため、急速な交通インフラの整備を進めています。中でも特筆すべきは地下鉄路線網です。上海で最初の地下鉄が開業したのは1995年ですが、その後わずか20年あまりで548km、12路線が整備され、今ではロンドンを抜いて世界最長の地下鉄路線網となっています。地下鉄の駅にはホームドアが設置されており、安全面にも配慮されています。市内には路線バスも多く運行されていますが、通常のディーゼルバスに加えて、大気汚染対策として、トロリーバスや電気バスも数多く導入されていました。上海から他の都市へは高速鉄道(新幹線)が数多く整備されています。高速鉄道の駅は、さながら空港のように巨大で、中国各地に向かう乗客で混雑していました。高速鉄道は、日本やドイツなどの鉄道先進国の技術をベースにしたものですが、現在では中国国内で製造されています。◆おわりに 今回は学会への参加だけでなく、成長著しい中国の交通システムを見ることができたという意味でも非常に勉強になる機会となりました。次回の世界交通学会は、インド・ムンバイ市で開催されるということですので、次はそこを目指して研究を進めていきたいと考えています。

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る