まちと交通 2016年11月 57号
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とても賛成42%やや賛成23%どちらでもない34%あまり賛成でない0%全く賛成でない1%N=70図1/自動運転が普及した社会が実現することに   対する意識写真1/豊田市交通安全学習センターの市街地ゾーンの3Dマップと    それを解説するロボット(2016年9月18日のあま市の自動走行    体験試乗会で撮影)ダプティブクルーズコントロール等の機能(多くが市販済み)が含まれます。 自動運転は、数十年も前から人々の夢の乗り物として思い描かれてきました。その夢の乗り物が実現に近づくきっかけになったと言われているのが、米国で2003年~2007年の間に3回開催されたDARPA(Defense Advanced Research Proj-ects Agency:米国防総省の研究機関)が主催した自動運転車の競技です。そこで優秀な成績を収めたチームの技術者が、その後グーグルなどに移籍し、自動運転技術の開発に関わっています。 一方、日本でも国を挙げた取り組みが進められています。内閣府SIP(Strategic Innovation Promotion Program:戦略的イノベーション創造プログラム)の自動走行システム研究開発をはじめ、関係省庁、自治体が自動運転の実現に向けた取り組みを始めています。そして、民間においても自動車や情報通信などの企業がこぞって研究開発を進めています。官民ITS構想・ロードマップ2016では、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据えて、高速道路での自動走行システムや、限定地域での無人自動走行移動サービスの実現を目指しています。 愛知県では、平成28年度に自動走行実証実験を愛知県が主体となって県内15の市町で実施しています。その中の4市町では、一般の人が無人タクシーを疑似体験するモニター調査を実施しており、豊田市(下山地区)においても2016年12月に実施される予定です。 余談ですが、豊田市交通安全学習センターの市街地ゾーンでは、自動運転に不可欠な3Dマップ(3次元の高精度地図)が作成されており、自動運転の車両が走行できる環境が整っています(写真1)。豊田市にある施設も、こうした形で自動運転の実現に向けた動きに貢献しています。 以上のように、研究開発や実用化に向けた取り組みが加速している自動運転ですが、社会に実装していくためには多くの問題をひとつずつ解決していく必要があります。以降では、これらの問題のいくつかについて、ご紹介したいと思います。 自動運転の車を利用するのは私たち人間です。人々は自動運転に対してどのような認識を持っているのか。これを把握するため、弊研究所では2016年9月末に豊田スタジアムで開催された「とよた産業フェスタ」で、参加者を対象に意識調査を行いました。このイベントは幅広い年齢層の多くの市民が集まるものであり、地域は限定されますが、偏りのない意見が集められることを期待して実施しました。調査の結果、70名(男性28人、女性38人、65歳以上の高齢者9人、64歳未満57人、免許保有者60人、免許非保有者6人※性別、年齢、免許有無の不明は記載していない)の方々にご協力いただくことができました。 自動運転が普及した社会が実現することに賛成か反対かを5段階で質問した結果、「とても賛成」は42%、「やや賛成」は23%であり、賛成派だけで過半数を超える65%でした。そして「どちらでもない」が34%であり、反対派はわずか1%でした(図1)。 この結果からは、自動運転は多くの方々に期待されていることを感じることができます。では、自動運転にどんなことを期待するか、自動運転のどんなことを心配するか、どのような不安を抱いているのか、どんな人が期待あるいは心配や不安を感じやすいのか、ということも調べて、人々の意識をより深く理解する必要があります。弊研究所では、こうしたことを把握する調査を今年度中に行い、分析していく予定です。 とよた産業フェスタでの調査結果は、人々は自動運転が社会に良い効果をもたらすことを期待していることの表れと捉えることができるでしょう。では、本当に自動運自動運転の実現に向けた動き市民の認識とその背景の分析の必要性自動運転は都市交通問題解決の切り札になりうるか

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