まちと交通 2016年5月 55号
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表1/平成27年の人身事故発生件数死 者 数重傷者数軽傷者数平成27年2,000件13人62人2,317人前 年1,857件10人49人2,216人対前年比107.7%130.0%126.5%104.6%表2/事故類型別にみた平成27年の交通事故図1/愛知県全体における豊田市の割合人対車両自転車対車両自動車相互(二輪車含む)車両単独(二輪車含む)対背面横断歩道横断中横断歩道外横断中その他追 突出合頭右左折その他正 面追 突出合頭右左折その他工作物逸 脱駐車車両その他1145425741577934468243511231822222192,000人身事故件数死者数1020010020000501113合 計 豊田市における   交通事故データの分析と活用~豊田市の交通事故の現状とその傾向~特集 平成27年中に豊田市内で発生した人身事故は表1のとおりでした。前年と比較すると、いずれの数値も増加しています。特に死亡・重傷者数の増加率が高く、前年より重大事故が多かったことがうかがえます。 また、事故類型別にまとめたものが表2です。件数として多いのは自動車相互の「追突」「出合頭」、自転車対車両の「出合頭」となっています。死亡事故は車両単独事故や人対車両事故といった、件数自体は比較的少ない事故において死者が出ています。 全国の都道府県の中でも交通事故の多い愛知県の中にあって、豊田市はどのような状況なのでしょう。図1に示すように、平成27年に豊田市内で発生した人身事故件数および死亡者数が愛知県全体に占める割合は、それぞれ4.5%、6.1%でした。これを他指標の割合と比較して見ると、人口は5.6%ですから「豊田市の平成27年の人身事故件数は、愛知県の中では人口の割に少なかったが死者数は多かった」と捉えることができます。また道路延長、車両保有台数、自動車トリップ発生集中量といった道路交通関連指標と比較して見ると、事故件数・死者数ともに県内に占めるそれらの割に、多くはないようです。 では、豊田市内で発生する交通事故には何か特徴があるのでしょうか。愛知県全体と豊田市の平成27年度人身事故を類型別に整理した図2を見てみると、豊田市では「横断中」「正面衝突」「追突」「車両単独」の割合が県全体よりも少し高くなっています。詳細分析は割愛しますが、事故類型別の発生地点を地図上で眺めてみると「追突」事故は幹線道路等の渋滞ポイントで、「正面衝突」や「車両単独」事故はスピードが出やすい郊外の単路部で多く発生しています。さらにそのような事故は死亡豊田市における交通事故- 平成27年の人身事故 -愛知県の中の豊田市- 愛知県全体との比較 - 平成28年1月に警察庁が発表した平成27年中の交通事故死者数は前年から4人増の4,117人でした。平成以降概ね減少傾向を続ける中にあって、実に15年ぶりの増加とのこと。増加率としては僅か0.097%ではありますが「失われた人の命」が増加したことは道義的に問題視すべき事実であり、私たちはこのクルマという文明の利器(であり当地域において産業の骨幹となるもの)に起因する理不尽な理由で命を落とす人の数をゼロとすることを目指さねばなりません。 さて、豊田市では愛知県警と共に、建設部によるハード的な交通安全対策および社会部によるソフト的な交通安全対策の取り組みが進められています。当研究所はそれら行政の取り組みを、基礎的な事故データベース整備や分析あるいは新たなデバイス・手法の効果検証といった面で研究を通じて支援しており、その一つとして、豊田市・豊田市交通安全市民会議が毎年発行している交通安全啓発冊子「とよたの交通事故」の製作に平成13年版から継続して携わっています。平成27年版では当研究所からの提案で再整理した過去の事故データを用いた分析により、内容の刷新を図りました。今号の特集では、それに関連するデータ分析作業で得られた知見の一部を紹介しながら、豊田市の交通事故の傾向を眺めてみます。研究部次長・主幹研究員 山崎 基浩/研究アシスタント 川澄 奈美

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