まちと交通 2014年11月 49号
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図3/カタログ燃費達成率の分布図4/全体の燃費改善率の分布頻度の高い達成率(60~80%)カタログ燃費を超える実燃費を達成極端に悪い改善率(燃費が悪化)全参加者の平均改善率:約5%極端に良い改善率燃費改善率カタログ燃費達成率頻度頻度頻度の高い改善率(0~15%)た。参加者は、これらの情報を参考にして、さらなるエコドライブ技術の上達を目指すというのが社会実験の流れとなっています。(2)情報提供の仕組み 実験期間は、提供される情報の違いによって、3つの期間(ターム1~ターム3)に区分されました。ターム1は情報提供がない期間であり、ターム2ではWeb上でエコドライブ診断結果の情報提供を行いました。ターム3では、ターム2の情報提供に加えて、車両に設置したLEDインジケータによって、瞬間燃料消費量に関する情報が提供されました。 エコドライブ診断に用いた指標を図2に示します。エコドライブ10のすすめ1)のうち、運転操作や確認に該当する5つを指標として用いました。(1)カタログ燃費達成率の分布 参加者は、それぞれ、燃費性能の異なる車を利用しているため、単純に燃費を比較することはできません。そこで、「カタログ燃費達成率」(カタログ燃費に対する実燃費の割合)という指標を用いました。図3に、参加者250人のカタログ燃費達成率の分布を示します。一般に言われているように、カタログ燃費の6~8割(図のオレンジ色)くらいの実燃費が多い一方で、カタログ燃費を超える実燃費(図の緑色)もみられます。(2)最も達成率の高い運転 カタログ燃費達成率の高い参加者の運転は、スマートドライブの方法として参考になると考えられます。最もカタログ燃費達成率の高い参加者の走行は、高速道路を利用していましたが、単に、高速道路を走行しているから燃費が良いというだけではありませんでした。速度を時速70~80kmにキープして、ムダな加減速をしないという運転方法が、カタログ燃費を越える良い燃費につながっていました。(1)全体の燃費改善効果 社会実験で行われた情報提供によって、どのくらい燃費が改善したかを評価するために「燃費改善率」という指標を用いました。この指標は、情報提供のない期間(ターム1)に対して、Web診断とLEDインジケータでの情報提供を行った期間(ターム3)でどのくらい燃料消費を削減できたのかを表しています。図4に、参加者250人の燃費改善率の分布を示します。 0~15%の改善率(図の緑色)が多い一方で、極端に良い改善率や極端に悪い改善率(図のオレンジ色)もみられました。また、全参加者の平均改善率は約5%で、エコドライブ講習会などの結果として報告されている値(約10~20%)と比べて小さい値となりました。(2)評価データの選定 長期間にわたる社会実験のデータには、運転操作以外にも、燃費に影響を与える様々な要因が含まれています。例えば、A.気温や季節の影響、B.走行距離や道路状況の影響などが考えられます。これらの影響を除いた評価を行うため、以下のような方法で選定したデータのみを用いて、評価を行いました。A.ターム1とターム3で、近い時期のデータのみを比較する。B.日常よく利用する同一経路のデータのみを用いて比較する。 図5に、選定データを用いた燃費改善率を示します。ガソリン車9名の参加者から、評価に用いることができるデータが得られました。改善率は、平均で約15%となり、全体の効果よりも3倍も高い社会実験の結果①燃費の良い運転とは?社会実験の結果②燃費改善の効果と要因
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