まちと交通 2014年11月 49号
2/6

図2/エコドライブ診断指標図1/スマートドライブのイメージ豊田市の走行実態にもとづいたスマートドライブ特集(1)環境モデル都市の取組み 豊田市は、2009年(平成21年)に、低炭素社会に向けて高い目標を掲げて先駆的な取組みにチャレンジする「環境モデル都市」に指定され、中期的(2030年)には30%、長期的(2050年)には50%の二酸化炭素(以下、CO2)排出削減(いずれも1990年度比)を必達目標としています。2030年の運輸部門の削減目標は40%という高い目標を掲げており、次世代自動車の導入支援、小型電気自動車のシェアリングシステムの導入、公共交通の利便性向上、エコドライブの普及推進など、様々な施策が取組まれています。(2)スマートドライブとは 「スマートドライブ」に関する厳密な定義はありませんが、ここでは「環境に配慮した安全な運転」という意味で使用しています(図1)。 一般的に、ガソリン代の節約、燃費の改善やCO2の排出削減を目指した運転はエコドライブと呼ばれています。エコドライブは安全運転に通じる面もあることから、環境と安全の両面から、「スマートドライブ」として普及を目指しています。また、エコドライブの方法として、「ゆっくりとした発進加速」がよく知られていますが、朝の通勤時間帯で渋滞が発生する豊田市では、違う有効な方法があるのではないかという思いも込めています。(3)研究の目的 本研究では、豊田市でのスマートドライブの広い普及を目指して、まず、環境の側面から、市民に向けたPR材料の充実、科学的な燃費改善効果の検証を目的としています。 そこで、豊田市で実施された大規模な社会実験のデータを用いて、豊田市の日常の走行という観点から、以下の分析を行いました。①燃費の良い走行は、どんな運転方法なのか?②スマートドライブの実施で、どれくらい燃費が改善されるのか?その要因(運転方法の変化)は何なのか? 2011年の3月~12月にかけて、豊田市、名古屋大学、(公財)豊田都市交通研究所が中心となって、「豊田市エコドライブ推進プロジェクト」を実施しました。この社会実験では、約280人の市民の方に、ご参加いただきました。(1)実験の流れ 参加者は、参加者自身が所有する車にエコドライブ車載器を設置し、その後、日常生活で車を利用し、運転データを収集しました。運転データに基づきWeb上で閲覧可能なエコドライブ診断結果や、LEDインジケータを用いた瞬間的な燃料消費量の情報を提供しまし研究部主席研究員 加藤 秀樹はじめに社会実験の概要

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る