まちと交通 2014年11月 49号
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公益財団法人 豊田都市交通研究所2014年11月49号豊田市の走行実態にもとづいたスマートドライブ特集ポートランド(アメリカ)の帰宅ラッシュ/車のライトが連なるハイウェイ「公共交通の先進都市」においても、自動車利用のあり方は、まだまだ検討の余地がありそうだ。撮影:加藤ポートランド(アメリカ)の帰宅ラッシュ/車のライトが連なるハイウェイ「公共交通の先進都市」においても、自動車利用のあり方は、まだまだ検討の余地がありそうだ。撮影:加藤 台風・豪雨災害が日本各地で頻発化・激甚化している。その豪雨災害が平日昼間に生じると、鉄道が運休し、道路交通も大渋滞となり、帰宅交通困難が報じられる事も多くなっている。一度この状態が発生すると、一斉に慌てて職場から帰宅することで、群衆が駅や階段等に集中し、群衆なだれが生じる危険性も指摘されている。又は、出発した多くの人は、3~7時間以上の長時間に渡って、徒歩や車で移動せざるを得なかったり、駅で宿泊したりなど、大変な帰宅行動を余儀なく強いられることにもなる。 さて、このとき重要なのは、帰宅出発前の交通情報に対する意識であろう。平成23年9月に襲来した台風豪雨災害では、この地域でも多くの帰宅困難者を出したが、このときの調査結果より次のことが分かった。鉄道の運行情報や運休再開情報の取得状況を調べた結果,運行運休情報は約60%の人が取得して、帰宅を取りやめるか出発するが、30%程度の人は駅か途中で情報を取得している。そして、取得した情報が何らか間違いや正しくなかったとする人は40%程度になっている。 いざ災害時になると、WEBはアクセスが集中し十分情報をとれなかったり、更新が遅かったりする。また、帰宅出発時は、鉄道が運行していても駅まで着くと運行見合わせになっているなど、交通情報のタイムラグが存在する。この割合が割と多い。このタイムラグが大きいほど帰宅困難者が増えることになる。いざという時ほど、情報は変わりやすく、間違いもあることを知っておくべきである。しかし、正しい情報を得て動いた人の方が何も情報を得ない人よりも、帰宅困難度がかなり少ない結果もある。慌てて出発するのではなく、慎重に正確な情報取得を心がけ、災害用伝言ダイヤルなどを利用して、家族と安否確認をとって、安全な場所に待機していることが得策ともいえる。 一方、雨量情報と災害発生との関係性の意識も重要である。時間雨量30~50㎜以上で災害発生可能性大であるが100㎜以上と答える人も割と多い。最近ではツイッター等による情報活用も考えられているが、結局は、豪雨災害時の交通情報の特徴を知り、雨量情報と合わせて、災害と交通の正しい状況判断を、自ら行えるように日頃から心がけることが重要といえる。災害時の帰宅困難と交通情報名古屋工業大学 高度防災工学センター 教授 藤田 素弘お知らせ<次回、次々回のご案内>●日時/12月15日(月)、2015年1月19日 両日とも18:00~19:00●会場/「豊田都市交通研究所」(豊田市元城町3-17元城庁舎西棟4F)※詳細はWEBに掲載中 (http://www.ttri.or.jp/machi/machi.html)「まちべん」に参加しませんか
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