まちと交通 2000年10月 4号
8/16

Topics 1「ふれあいバス」走る ◆豊田市の試み 生活交通モデル運行事業◆7 TTRI Letter No.4特集 コミュニティバスを考えるコミュニティバスブームに思う5. おわりに コミュニティバスを「免罪符」にしてはならない。今、地方自治体に求められていることは、コミュニティバスを走らせることではない。地域社会における交通権を守ることである。そのための一つの方策が、コミュニティバスなのである。 交通権は、社会関係の中でしか生きられない人間にとって、基本的人権にも匹敵する重要な権利である。生活圏の拡大は、同一地域に生活することによって共同性を育むという地域社会のしくみを崩壊させた。今、高齢社会へむけて、地域社会の共同性の再生が強く求められている。地域社会の構成員=住民による、交通権を守るための合意形成の過程は、地域社会再生のための力を生み出すであろう。コミュニティバスは、その契機にすぎない。地方自治体の政策担当者も、住民も、このことを肝に銘じておかなければならないと思う。森 田 優 己 プロフィールMasami Morita◆現  在:桜花学園大学      人文学部人間関係学科 助教授◆最終学歴:立命館大学経済学研究科博士課程修了◆担当分野:人間社会と交通,地域経済論      経済学概論 公共交通空白地域において、誰でも利用できる生活に密着した交通手段を確保することを目的に、平成12年9月1日より豊田市の南西部で「ふれあいバス」が走り始めた。 このバス運行の考え方は、①地域が育てる交通システムであること、②利用しやすく魅力的な交通手段であること、③短距離路線の組合せによる交通システムであることである。この運行にあたって、ふれあいバス運営協議会、生活交通運行事業者協会、豊田市の3者は運行協定を締結し、バス運行を始めた。 このバス運行の大きな特徴は、利用者を事前に確保するために会員制を導入、年会費の支払い、年間定期券を購入するシステムをとっていること(もちろん会員以外も有料でバスには乗車できる)、加えて乗り換え拠点を設け、各地域から公共施設などを経由した路線は乗り換え拠点で乗り換えることにより2つの鉄道駅に接続できるシステム(図-1)をとっていることである。ふれあいバス除幕式図-1 運行システム地   域公共施設(コミセン)乗り換え(高岡公園)鉄 道 駅(知立駅、若林駅)昼間時ラッシュ時

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る