まちと交通 2000年10月 4号
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まちと交通 ~TTRI Letter~ 第4号●目次■特集 「コミュニティバスを考える」 寄稿「コミュニティ公共交通計画の必要性と検討課題」 「コミュニティバスブームに思う」 「『役に立つ』コミュニティバスを生み出す方法」■研究員レポートイベント「クリーンエネルギーフェスタ」●Topics 1「ふれあいバス」走る●Topics 2「バスロケーション案内システム TIME・b」■ Information (研究所からのご案内)___ 1_______ 5___8______11_________7_9______141 TTRI Letter No.41. はじめに 本稿では、筆者の感じているバス交通計画のあり方について述べる。その際に、私的な体験も交えて筆者の考えを明らかにし、さらに、研究者としてこの問題にどのように直面すべきかについての悩みも打ち明けたい。2. 「ぐんまの交通」の体験 1990年から3年間、筆者は群馬県内の大学に勤務した。名古屋で生まれ育った筆者にとって、不慣れな土地での生活への不安と、新たな地理感を体験できるという期待とを併せ持って赴任した。群馬への転勤を知人達に知らせると、彼らから様々なアドバイスを頂いた。「群馬県には路線バスのない都市がある」「英国の交通状況に雰囲気が似ている」「自動車がなければ何もできないところだ」等々。 赴任前に地図を購入し、バス路線を調べてみた。かなりの路線が地図上に記載されているではないか。そこで、赴任後の通勤経路、停留所名や料金を確認するために、バス会社営業所へ電話した。ところが、「その路線は昨年廃止されました」との返事であった。アドバイスの意味が少し分かったような気がした。結局、通勤には、少し離れた鉄道駅まで歩き、そこから中心駅へ行き、そこでバスに乗り換え大学へという経路になった。なお、その鉄道は旧国鉄ローカル線が第三セクターに転換されたものである。ローカル鉄道と地方部の路線バスを通勤手段とする体験が始まったのである。 群馬での研究テーマ選びの際に、上記のアドバイスを活かそうといろいろと調べてみた。卒研の学生が群馬県庁でおもしろい資料を頂いてきた。「ぐんまの交通」*1と題する資料である。この資料は、当時の知事が提案した「ミニ新幹線」を実現させるために、群馬県の交通の現状をまとめたものである。これが、筆者にとって、群馬県などの地方部における交通の現状を把握するための貴重な教科書となった。内容は、総論、幹線交通(高速道路、新幹線、航空)、公共交通(鉄道、乗合バス、タクシー)、交通安全のそれぞれについて現状と対策がまとめられていた。 この内、公共交通の解説文には、筆者にとって目新しい言葉が溢れていた。第三セクター鉄道、中小私鉄欠損補助、廃止代替バス、乗合タクシー、運転代行、等々。地方部の公共交通、つまり、自分が利用している鉄道やバスがどのような状況に置かれており、また、行政がどのような仕組みで支援しているのかを理解した。ここから、「自動車化社会における公共交通のあり方」という研究テーマがスタートした。群馬県は、県民一人当たりの自動車保有台特集にあたって 前号(第3号)「まちと交通」の中の「バス座談会」にて、ご紹介しましたように、自治体の運行によるコミュニティバスは、愛知県内でも急速に広がりつつあり、様々な課題が浮き上がっています。 今回の特集では、改めてコミュニティバスについて考えるために、公共交通研究会にご参加いただいております3名の先生方に、様々な立場からお寄せいただきましたご意見を紹介いたします。特集 コミュニティバスを考えるコミュニティ公共交通計画の必要性と検討課題
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