まちと交通 2011年2月 34号
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豊田市エコ通勤をすすめる会特別講演会 今回の研究員報告は、前号(33号)に引き続き、エコ通勤に関する報告です。 当研究所が事務局の一員を務める、豊田市エコ通勤をすすめる会(以下、すすめる会)の特別講演会を、2010年11月26日(金)に豊田商工会議所多目的ホールにて開催しました。講演会のテーマを「健康とエコ通勤」とし、環境面が注目されがちなエコ通勤について、交通行動と健康面に関するお話や事業所でのエコ通勤の実施事例について、講師をお招きしてお話しいただきました。 井上氏からは、医学の立場から、健康づくりのための運動(身体活動)の重要性を踏まえ、普段の生活環境の中で運動をどのように実現していくかについてお話をいただきました。生活環境と運動との関係について、人口密度が高い都市や、歩道や自転車道が整備されている都市のほうがよく歩く人が多いという研究成果や、自動車に乗る時間と肥満の関係、通勤で自動車を使っていない人は、使っている人よりもよく歩く人が多いという研究成果をご紹介いただきました。以上のように、健康づくりのために生活環境を変えることで運動量を増やすことができる可能性がありますが、その実現のためには、様々な研究分野の協働と、説得力のある研究成果をさらに積み上げていく必要があるとのお話しでした。 太箸氏からは、企業におけるエコ通勤実践担当者の立場から、ヤマハ発動機㈱におけるエコ通勤に関する取り組みについてお話をいただきました。エコ通勤に取り組むこととなったきっかけは、エコ通勤ありきではなく「従業員のエコマインドを醸成する」という大きな方針の中で、その手段としてエコ通勤が選ばれた、ということでした。実際に従業員にエコ通勤を実践してもらうために、徒歩や自転車利用者への手当て、電動アシスト自転車、電動バイクの購入補助、鉄道やバスの乗り換え手当て、通勤バスのサービス向上などの施策が実施されています。また、毎月エコ通勤参加状況を調査するメールが配信されるなど、とにかくエコ通勤に参加する意欲を駆り立てる工夫がとられています。その結果、エコ通勤の実践割合は年々増加し、2010年7月には7割弱の参加率となっています。こうした結果をフィードバックし、みんなで参加するというモチベーションを持続していることが、成功の秘訣ではないかと自負しておられました。 講演の内容に対して、参加者からも活発な質疑応答が交わされ、有意義な講演会だったと感謝しております。また、講師の先生方からのご講演のほか、すすめる会事務局からの活動報告も行われました。講演会の詳細について興味のある方は、本紙の最終ページにある問合せ先までご連絡ください。 すすめる会は、一般の方も対象にエコ通勤を促進するために様々な活動をしております。エコ通勤に興味をお持ちの方は、すすめる会のエコ通勤促進プロジェクト「エコミュート」のHP※をご覧ください。 ※http://ecommute-toyota.jp/研究部 主任研究員 西堀 泰英・研究員報告・・■プログラム■会場風景1.開会あいさつ 伊豆原浩二氏 名古屋産業大学 教授        (すすめる会 会長)2.活動報告○環境モデル都市豊田市の交通政策 三浦浩氏 豊田市都市整備部交通政策課 副主幹      (すすめる会 事務局)○豊田市におけるエコ通勤の今 山﨑基浩氏 (公財)豊田都市交通研究所 主席研究員       (すすめる会 事務局)3.講演○交通行動と健康 井上茂氏 東京医科大学公衆衛生学講座 講師○ヤマハ発動機におけるエコ通勤の取組みについて 太箸樹巨雄氏 ヤマハ発動機株式会社総務部        環境・施設グループ リーダー4.閉会あいさつ 加藤康隆氏 豊田商工会議所総務部 部長       (すすめる会 事務局)■講師紹介井上 茂 氏太箸 樹巨雄 氏(東京医科大学公衆衛生学講座 講師)東京医科大学衛生学公衆衛生学教室助手(現:助教)を経て現職(ヤマハ発動機株式会社 総務部 環境・施設グループ リーダー)ヤマハ発動機㈱地球環境担当部門を経て現職いのうえ  しげるふとはし   き み お

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