まちと交通 2011年2月 34号
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豊田市におけるバス評価の考え方 地域公共交通施策を評価する場合、どのような視点で評価すべきでしょうか。バス運行サービスが地域に存在することにより、住民のモビリティが確保されます。例えばクルマを利用することができない人が、行くことができなかった場所に行けるようになる場合もあるでしょう。また、社会資本として位置付けるのであれば地域住民の移動の確保に一定の公的財源負担は認められるべきでしょうが、公平性が問われるとともに「税金のムダ遣い」とならぬように、ある程度は効率的なサービス提供が求められるでしょう。 今回、豊田市において評価手法を構築するにあたりさまざまな検討がなされましたが、最終的には主に「事業性の評価(効率性)」という視点に立ち、加えて「地域住民のモビリティ確保の評価(必要性)」という視点を補足的に考慮することになりました。評価の方法と指標 評価の方法は図2に示すとおり、チェック1~3の3段階で成り立っています。まず「①利用や運行の実態など定量的な指標による評価」として、チェック1では「効率的な運行がなされているか」という観点から『運行経費に対する運賃や地域負担による収入の割合』を指標とした評価をおこないます。さらにチェック2では地域の人口規模を考慮した利用実態として『沿線人口あたりの利用者数』を指標とします。この2つの指標は同時に算出し評価基準に照らし合わせ、その合否により「③改編の基本方針を決定」することになります。 定量的指標によるチェックで基準を満たさなかった場合、「②アンケート調査等に基づく定性的な評価」を行います。ここでは沿線住民や利用者のモビリティ確保における必要性や、市の公共交通ネットワーク上の位置づけなどから政策としての必要性などを確認します。 今回の評価基準(クリアすべき指標値)は政策的判断により、表2のように設定されました。この基準は次回サイクルの評価に向けて、今後も評価会議の中で検討していくことになると考えられます。図1 バスの運営および評価の体制表2 評価基準図2 評価指標と方法営において第三者的立場にある学識者で構成される組織「豊田市公共交通評価会議」が行います。評価方法についても、この評価会議において検討がなされました。評価結果を受けたそれぞれの運営主体は、改善方策を検討し、次期PDCAサイクルに向けた改編案を示すことになります。運営および評価の体制イメージは図1のとおりです。

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