まちと交通 2011年2月 34号
2/6

地域公共交通評価の背景はじめに 現在、自治体が主導的に運行に関わる乗合交通が、多くの地域で運行されています。既に運行開始から10年以上が経過しているような事例も多く見られるようになりましたが、このような自治体バスの運行サービスを持続可能なものとするためには、定期的に評価し改善を図っていくことが重要であると考えられます。また、地域の公共交通に関する総合的な計画の策定についても、自治体が政策として地域公共交通の確保に取り組む上で重要な課題となっています。評価・改善を行っていくためには、その拠となる計画の存在は必須であると言えるでしょう。2007年に施行された「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」では、地域公共交通の総合的な計画の策定を促すとともに、同法に基づく国の支援事業「地域公共交通活性化・再生総合事業」において補助金の交付対象となる事業については、毎年度、運行の評価を行い、次年度の運行に改善を施していくことが支援の条件となっています。 豊田市では、2006年度に「豊田市公共交通基本計画」が策定され、バスを主とした地域公共交通確保のための施策が順次展開されてきました。同計画で豊田市は、概ね3年間を1サイクルとしたPDCAのプロセスによってバス運行の評価・見直しを実施しながら施策を展開していく方針を明示し、2007年度から具体的な評価方法の検討が開始され、その1サイクル目の評価実施年度にあたる2010年度、「基幹バス」(写真1)と「地域バス」(写真2)の評価が実施されました。バス評価の体制と手順 豊田市が運行に関わるバスは、市内の拠点間を結ぶ「基幹バス」と、概ね中学校区で区分される地域内を運行する「地域バス」で構成されており、「基幹バス」に関しては市が、「地域バス」に関しては支所を窓口とした地域住民による組織が主導的にその運営に取り組んでいます。運行内容の最終的な承認については地域公共交通会議である「豊田市公共交通会議」が行いますが、評価に関してはこれと独立した、バス運 豊田市では「公共交通基本計画」において公共交通を社会資本として位置付け、公共サービスとして提供すべき地域公共交通ネットワークの整備が進められています。平成23年2月現在、14路線の「基幹バス(とよたおいでんバス)」と17地域で「地域バス」が運行されていますが、本年度、施策の主幹であるこれらのバス交通を評価し改善していく試みがなされました。本号の特集では、当研究所が携わってきたこの「バス評価」の方法と結果について報告いたします。写真2 豊田市の地域バス写真1 豊田市の基幹バス・特集:豊田市における自治体バスの評価手法の構築     ~持続可能な地域公共交通サービス確保に向けて~・研究部 主席研究員 山﨑 基浩

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る