まちと交通 1999年10月 2号
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表1 e-com主要諸元全長×全幅×全高 車両重量 乗車定員 駆動方式 駆動モーター 駆動用バッテリー 充電方式 充電時間(20%残存時)航続距離 最高速度 表1のとおりです。また、e-comには、VICS(ヴィックス)MONET対応のナビやカードリーダーなどが装備されています。3.Crayonの利用イメージ それでは、以下利用手順に従って、Crayonの利用イメージを紹介します。(図2)【利用予約】…自宅・事務所など 利用予約は、パソコンからインターネット/イントラネットを使ってセンターにアクセスし、利用日時・パスワードなどを入力して行います。センターは予約状況を確認のうえ、予約を受付けます。【利用開始】…デポターミナル 利用する際は、デポターミナルにて利用開始手続きを行い、空き車両の充電状態などから車両が割付けられます。(空きがある場合は予約なしでも利用可能です。)カードの利用とパネルタッチ方式の簡単入力により、本人認証などが容易に行えます。 さらにカードに車両キーとしての機能が付加されます。このことにより鍵の受け渡しが不要になります。【車両利用】…e-com 利用者は、指定された車両のカードリーダーにカードをかざして開錠します。また、充電端子を車両からはずし、充電器にセットします。 運転中は、VICS・MONET対応ナビでリアルタイムに交通情報や地域情報などが入手できます。また、ナビよりMONET情報センターを通じてCrayonセンターへ現在位置が自動的に発信されます。センターでは現在位置の把握を行うとともに、利用エリアを越えると自動的に警告を出します。【終了手続き】…デポターミナル 利用後は、カードをカードリーダーにかざすことにより施錠されます。デポで車両を返却する際には、充電器の充電端子を車両に挿入し、デポターミナルで終了手続きを行います。デポ間で利用する際には使用時間の間だけ車両が占有され、行き帰りで車両が必ずしも同じにはなりません。 出張先や家庭への持ち帰りの時に充電が不足した場合には、家庭用電源100Vで充電が可能です。 また、将来の有料利用を想定し、利用料金の請求システムのシミュレーションを実施しています。4.Crayonの運用実験 Crayonの運用実験は、トヨタ従業員300名を対象に、豊田市内の各事業所間で、本年の5月から行われています。 デポは社内 8ヶ所(必要に応じて10ヶ所に増設予定)に設置されています。車両のe-comは当初35台でスタートしましたが、年度内に50台程度に増やす予定になっています。 また、本年の10月~11月に、豊田市で実施されている「ITSモデル地区実験・IN豊田」では、豊田市役所内にデポを新たに設置し、豊田市職員も会員に加えた共同利用実験を実施しています。5.おわりに CrayonはEVの特徴を活かした共同利用システムを、ITS技術を活用して実現化したものです。 EV共同利用システムの導入に際しては、各地域の特性・利用目的に合わせて、車両・インフラ・通信機能などの最適な選択・組み合わせが必要になってきます。Crayonで使用されているe-comは、2人乗りの軽自動車規格の車両です。これは、都市部の多くの車両利用が乗車人員2名以下ということから設定されています。他の地域ではどのような車両が最適でしょうか。地域毎に、まちづくり・地域づくりの一環として、また、交通インフラの一つと捉えて考えていく必要があります。 EV共同利用システムは、新しい自動車利用システムとして世界中で注目されており、フランス・スイス・アメリカなど世界各国や、横浜みなとみらい21地区・東京都多摩ニュータウンなどでも運用実験が行われています。各実験を通じて、システムの特徴や前提条件などを正確に理解することが重要です。課題はありますが、実用化に向けて着々と前進しています。参考文献1) トヨタニュース「トヨタ、EVコミュータシステム『Crayon』を開発」1999.42) 「トヨタEVコミュータシステムCrayon」パンフレット、1999.63) トヨタ社内報「クリエーション」1999.72790mm×1475mm×1605mm770kg2名前輪駆動交流同期型最高出力18.5kw 最大トルク 76N・mシール型ニッケル水素100V コンダクティブタイプ200V インダクティブタイプAC100V 約9時間AC200V 約2.5時間約100km(10・15モード走行時)100km/h
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