まちと交通 2004年9月 10号
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(財)豊田都市交通研究所 主任研究員    橋本成仁            研究アシスタント 丹羽 舞愛・地球博(愛知万博)の輸送計画について周辺動向レポートReport29 TTRI Letter №101.愛・地球博の概要 "自然の叡智"をテーマとした愛・地球博が、2005年3月25日~9月25日(185日間)に開催されます。 「21世紀の人類が直面する地球規模の課題の解決の方向性と人類の生き方を発信するため、多数の国・国際機関の参加の下、自然の叡智をテーマとした新しい文化・文明の創造を目指して開催する。」ことが万博開催の目的とされています。 この万博の会場は長久手町・豊田市、瀬戸市にまたがる名古屋東部丘陵であり、現在、会場の整備(図1)とともに1500万人の来場が想定される会場への輸送計画の検討・準備も着々と進んでいます。 ここでは簡単にその輸送計画についてレポートします。図1 万博会場の工事状況各パビリオンの建設が急ピッチで進められています。(2004年7月撮影)2.愛・地球博の輸送計画 輸送計画の基本的な考え方は以下のようなものです。■分かり易く円滑なルート設定 愛・地球博の会場は来場者の動向に合わせ、分かり易く円滑なアクセス環境及び適切なルートを設定。■環境への負荷が小さい輸送体系 愛・地球博のテーマを反映し、鉄道とシャトルバスを組み合わせる等、公共交通機関を中心とした、環境への負荷が小さい輸送体系を構築。■パーク&ライド方式を採用 会場周辺道路への負荷を軽減するため、パーク&ライド方式を採用する。各駐車場からは、シャトルバスを運行。■ITS等の活用 周辺地域の交通の安全と円滑を確保するため、交通安全施設の整備およびITS(高度道路交通システム)等を活用 万博には世界各国・全国からの来訪者が予想されていますが、その多くは名古屋駅、中部国際空港などからの公共交通を利用しての移動が想定されています。 輸送計画の全体像は図2、3のとおりですが、公共交通としては、JR中央線経由で名古屋駅から愛知環状鉄道線万博八草駅への鉄道利用と、名古屋市営地下鉄藤が丘駅と万博八草駅とを結び、会場に隣接する万博会場駅まで運行する予定の東部丘陵線「リニモ」の利用が大きなウェイトを占めると考えられています。 また、本来リニモは中量軌道系システムであるため、大量の来訪者を捌くために各駅からのシャトルバスの運行計画も進められている。図2 愛知万博へのアクセス図3 万博会場へのアクセス手段

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