まちと交通 2004年9月 10号
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(財)豊田都市交通研究所 主任研究員 本田俊介 主任研究員 橋本成仁中心市街地玄関口バスの簡易デマンドシステムについて特集:ITSの取組みReport25 TTRI Letter №101.中心市街地玄関口バスの概要 豊田市の中心市街地には中心市街地玄関口バス(以下、玄関口バスと呼ぶ)というコミュニティバスが運行されている。このバスは、豊田市駅と病院(加茂病院)、大型スーパー(ジャスコ)を結ぶ約2.0kmを片道9分間で走行しており、通勤、買い物、通院など様々な用途で利用されている。 この玄関口バスは、平成14年6月から実験的に導入され、利用者数は、日平均で300人程度に達しており、現在も増加傾向にあり、中心市街地の足として不可欠な交通機関として着実に浸透しつつある。その最大の特徴は、バス利用者の待ち空間として、空調の効いた市役所や加茂病院といった既存の施設の待合室を利用している点にあり、利用者が炎天下や降雨時などの悪条件下で路上でバスを待つということを避けられるようになっている点である。 玄関口バスのこの考え方については、図3のとおり87%の利用者が「とても便利」「便利」と回答している。玄関口バスの特徴を簡単にまとめると以下のようになる。2.デマンドシステムの導入・評価 ただし、問題点として、渋滞の発生しがちな中心市街地内の路線を運行し、施設の敷地内への出入りを行うため、定時性の確保という点でやや課題を残していた。 この課題への対応策として簡易デマンドシステムを導入している。このシステムの概要は、図4に示すようなものであるが、施設敷地内に入る加茂病院、市役所のバス停に「バス呼び出しボタン」を設置し、バス運行に遅れが生じている時には呼び出しボタンが押されていないとそのバス停を通過するというものである。 これにより、バスは渋滞時に乗降者のいない場合には遅れを助長するバス停への出入りの必要がなくなる。 図1 玄関口バスの外観 図2 玄関口バスの走行経路(豊田市パンフレットより) 67.519.77.73.41.70%20%40%60%80%100%バスが玄関口に入っていくことは?(N=117)とても便利便利どちらでもよいなくてもよい不要図3 玄関口に入っていくことへの評価 ■主要施設の玄関に行くバス ⇒ 豊田市駅、市役所、加茂病院 ■施設内の待合室でバスの接近情報を提供 ⇒ 市役所、加茂病院 ■気軽に使える時間2~3本(片道26便)の運行 ⇒ 100円均一の運賃設定 ■荷物置場、握り棒、手すりを設置した車両
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