まちと交通 2004年9月 10号
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豊田市都市整備部交通政策課 主事 福田 真二豊田市における小型電気自動車共同利用実験の継続特集:ITSの取組みReportTTRI Letter №10 201.実験の背景 豊田市は、基幹産業がトヨタ自動車㈱をはじめとする自動車関連産業であり、複数の市街地が分散した都市構造となっているため、自動車利用の非常に高い交通特性の中で交通渋滞をはじめ様々な交通問題が発生している。このような背景から、本市は、将来にわたり安心して利用できる公共交通サービスを提供するため、自動車と協調した新たな公共交通サービスの提供に取り組んでいる。そのひとつが短距離の交通手段として小型電気自動車を共同利用するシステムである。 これまでの実験の経過としては、その第1ステップとして、1999年に市職員50名を対象とした小規模なハイブリッドカーによる共同利用実験を行い、車両稼働率の向上等の効果があることを確認した。 また第2ステップとして、2001年3月から、中心市街地において市民を対象に2人乗り電気自動車「e-com」(以下「電気自動車」という。)による実験(図-1)を行い、ITS技術による無人予約管理システムの実用性、中心市街地内の短距離移動手段及び鉄道駅からの端末交通手段としての利用が見られること、共同利用システムの事業展開の可能性について確認した。2002年10月からは、さらに事業化を検討するため、デポターミナル(以下「デポ」という。)の増設や会員の更新、法人会員の新設などを行い実験規模の拡大を図った。2003年5月からは個人・法人会員の随時会員受け付けを行うとともに、会員数を増員し、実験を継続した。また、10月からは法人会員への車両優先貸し出しも行い、安定利用者として期待できる法人会員の利用促進を試みた。本論文では、2003年4月から2004年3月までの実験の概要について報告する。 図-1 実験車両「e-com(イーコム)」 2.実験の概要 (1)目的 豊田市ではバス、タクシーを補完する鉄道駅からの端末交通手段、また中心市街地での業務や日常生活にも利用できる新たな交通システムとして、小型電気自動車等共同利用システムの本格導入を目指している。このシステムでは、多くの人が同じ車を短時間・短距離の移動に利用することで、自動車の総数を減らすとともに、排気ガスを出さない電気自動車を使用することで、環境の改善を図ることも可能である。また、街の活性化への貢献も期待される。 (2)実験期間 2003年4月から2004年3月 (実験は現在も継続中) (3)使用する車両 2人乗りの小型電気自動車17台を利用している。この車両には、ICカードにより車両の施錠を解除するシステムやカーナビゲーションシステム、携帯電話により管理センターで車両の現在位置を確認することができるシステムを搭載している。 (4)デポ 電気自動車は、中心市街地4か所と中心市街地から南へ約3km離れたトヨタ自動車㈱本社1か所の5か所のデポターミナルに配置されている。デポターミナルは、駐車場と充電器、管理端末機から構成され、車両に搭載されたICカードシステム(図-2)により、利用者は無人で車両の受け渡しを受けることができる。 管理センターでは、常に車両の充電状況を把握し、利用者の走行希望距離に合った車両を、自動的に割り当てている。また、インターネットにより24時間無人で車両の予約を受付けている。図-2 ICカードシステム
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