まちと交通 2004年9月 10号
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(財)豊田都市交通研究所 理事長 (豊田市長) 鈴木 公平明日への期待ごあいさつPreface1  TTRI Letter №10 豊田市では、平成16年度の施政方針として、5つの取組みを掲げています。第1は『少子高齢時代に備える取組み』、第2は『市民のいのちを大切にするための取組み』、第3は『ふれあい社会を豊田の文化にするための取組み』、第4は『さらなるモノづくりの中核都市を目指すための取組み』、第5は『地方分権時代の改革のための取組み』です。 この中で、当研究所の活動と関連の深い取組みは、第4の取組みで、具体的には、「ITS技術を生かした総合交通体系の確立に向けた取組み」と「愛・地球博を生かしたまちづくり」です。 「ITS技術を生かした総合交通体系の確立に向けた取組み」の中には、[公共交通に関する施策の充実]、[ITSを活用したまちづくり]、[道路交通に関する施策の充実]が位置づけられています。 [公共交通に関する施策の充実]では、生活交通確保基本計画に基づき、地域住民と共に考えながら、地域に合った新たな公共交通の導入をすすめています。また、愛知環状鉄道や東部丘陵線「リニモ」との結節など、鉄道や基幹バス路線、車との結節機能を強化して、人も車も安全で快適、円滑に移動できる交通環境整備にも取組んでいます。 [ITSを活用したまちづくり]は、豊田市ITS戦略プラン「STAR☆T21」を推進し、本年10月開催予定の「ITS世界会議 愛知・名古屋2004」では、企業との連携による体験ツアー「街の、路の、車の未来を探しにいこう!」を企画するほか、市民向けショーケースを展開することで、ITSの定着化と市民への理解活動をねらいとしてすすめています。 [道路交通に関する施策の充実]は、産業の活性化、地域の発展、交通安全、環境改善、景観への配慮等を考えながら、幹線道路網の早期整備を図り、国・県が計画している幹線道路についても、市として最大限に支援する方向で早期整備を目指しています。また、これらの道路の機能が発揮されるために、アクセス道路の整備や景観対応を含めた地域のまちづくり、具体的には、環状機能として交通分散を図る上で重要な路線である豊田南・北バイパスについて、まちづくりの視点も含めた整備手法についての検討がすすめられています。 「愛・地球博を生かしたまちづくり」では、2005年3月25日の「愛・地球博」の開幕に向けて、豊田市のまちづくり計画「あっと!ほーむタウンとよたプラン」が総仕上げの段階に入っています。具体的には、博覧会の会期中に約540万人の利用者が見込まれる八草駅は、愛知環状鉄道線と東部丘陵線の総合駅化による利便性の向上を図るとともに、会場へのゲートウェイエリアとして、来場者のおもてなしと豊田加茂地域の情報発信の拠点となる豊田インフォメーションプラザの設置をすすめています。 豊田市の市民意識調査では、住み良さ度について、「住みやすい」と回答する市民の割合が、調査のたびに少しずつ増えている一方で、「住みにくい」と回答する市民の方も少なからずおられます。「住みにくい」と回答された理由の中で、「交通の便が悪い」ということが、近年、トップを占めています。 当研究所は、研究のフィールドをおもに豊田市を中心として、これまで数々の研究成果を出しています。例えば、「内外環状道路の整備の提言」、「駐車場案内システム」、「短距離交通実験の展開」等があります。 今後は、「交通の便が悪い」という市民意識の存在を常に念頭におきながら、これらの施策方針に基づき、更なる調査・研究を進め、交通政策に反映させていかなければならないと考えています。 具体的には、豊田市では、「ITS世界会議 愛知・名古屋2004」に向けての取組みの中で、将来の事業化を目標とした社会実験が計画され、その成果を、「愛・地球博」開催中にも活かしながら、今後の道路交通に応用する方向で進めています。また、ITSは主に道路交通をねらいにしていますが、「歩行者の安全を確保するITS」、「駐車場の利便性を支援するITS」等の広範囲の適用が考えられており、将来、地域の交通に関わるシステムとして定着することを目標にすすめています。当研究所はこのようなITSへの取組みに積極的に参加しながら、この地域のシンクタンクとして調査研究を進め、まちづくりの中で役割りを果たしていかなければならないと考えています。 最後に、豊田市における交通環境について将来ビジョンをまとめますと、環境型の交通都市づくり、言い換えれば、環境にできるだけ優しい形で交通システムが構築できないか、ITSの技術を使って特徴ある個性的な都市環境を創造できないかということなどをイメージしています。 その実現のため、鋭意努力してまいりますので、今後とも変わらぬご支援いただきますよう心よりお願い申し上げます。 

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