まちと交通 2004年9月 10号
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特集:ITSの取組みReport15 TTRI Letter №10 交通手段としての電気自動車共同利用を継続しているとともに、今後は鉄道駅におけるP&R支援情報の提供を検討している。<目標> 公共交通の利用促進という課題は、公共交通機関そのものの利便性向上はいうまでもなく、道路交通との有機的結合による利便性向上をも含めて、鉄道及びバスの利用の増加を目指すものである。市域の公共交通利用可能圏域を現在の87%から92%に拡大すると、豊田市生活交通確保基本計画は掲げている。またパーソントリップ調査によると公共交通の機関分担率が現在約7%であるが、これを12%にまで高めることを目標としている。これらの目標は同様の調査や市民アンケートなどからデータを把握していく予定である。③ 市街地活性化 中心市街地の空洞化を防ぎ、来街者を増加させて活性化を図るためには、自動車での来街を便利にするための駐車場利便性向上と、回遊性を向上させるための歩行者支援が重要である。このことは、都市基盤の整備と商業振興施策の一体的推進を求める「豊田市中心市街地活性化基本計画」や交流促進や求心性の創出を目指す「まちづくり交通計画」でも述べている。施策としては、すでに市街地の公共駐車場の満空情報を提供する駐車場案内システムを稼動させているほか、現在はDSRC駐車場(図-5)活用として、スムーズなゲート通過を可能とする社会実験を6月より実施している。歩行者支援については、バリアフリー情報の収集と提供により車イスなどの障害者の移動支援を検討しており、これは同じエリアで実験を計画しているショッピングカートの共同利用実験にも応用できるとともに、携帯電話版のポータルサイトの中心的なコンテンツのひとつとなるものである。 図-5 DSRC駐車場実験風景<目標> 商店街への来街者数を現在から5%、商業販売額を10%、事業者従事者数を5%、それぞれ上昇させることを目標としている。店舗そのものの魅力向上が最大の手法であるが、交通やITSの分野においても市街地活性化に向けた取り組みの一つとして注目されている。④ 交流促進 豊田市は来年4月に周辺の町村との合併を控えている。これらの町村は特に観光資源が豊富であり、合併後の広域交流促進が課題となっている。特に課題となっている観光地等の目的地への移動手段情報の提供について、インターネットや携帯電話、カーナビ等多岐にわたる媒体での提供を検討している。特にインターネットではポータルサイトを構築し、GISで各種情報を統合することで、わかりやすい情報提供を目指している。また高速道路利用の利便性向上のため、サービスエリアにおいてETC車専用の出入口を設けるスマートIC(図-6)の社会実験を計画している。これは通常のICに比べて狭い面積での設置が可能であり、建設費用が安価にすむという利点があり、全国35箇所での社会実験が予定されている。図-6 スマートICイメージ (国土交通省HPより) <目標> 現在の豊田市内への観光客数は年間約500万人と言われ、合併する町村のそれを含めると計約1,000万人にもなる。またインターネットで観光等の情報を参照する割合は現在約50%である。これらの数値をさらに増加させることを目標としている。⑤ 交通事故の削減 交通が活発化することによって起きる不可避の問題であり、豊田市は全国でも交通事故件数が多い。交通事故削減のための取り組みとして、インターネット等による交通事故多発地点情報の提供を既に行っており、またITSの観点からは交通事故多発地点や本線合流地点においてカーナビに画像または音声にて注意喚起情報を提供し、また横断歩道で横断者を感知してカーナビの音声で知らせる「DSSS(安全運転支援システム)」実験(図-7)を展開中である。<目標> 安全運転に対する支援などにより交通事故の削減が期待される。ただしこれは非常に間接的な効果であるため、具体的な数値としての目標設定が難しい。国土交通省によると、交通事故の発生件数を長期的に半減することを目標として掲げている。本市でも同様の観点から、現在の自動車保有台数あたりの事故発生件数を削減することを目標とし、
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