交通まちづくりとともに
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2章  挑戦期 1995-2003( 平成7年 〜15年 )93今なお注目を集める中央線抹消効果の検証 平成12年(2000)以降、愛知県下では中央線抹消施策が積極的に導入されつつあった。豊田署管内でも実験的に行われていたが、これは、豊田都市交通研究所研究員の橋本成仁が大学在籍時から取り組みはじめていた研究であった。歩道の設置されていない補助幹線道路や生活道路において、交通事故の削減や歩行者の歩行環境を向上させるため、中央線を抹消することで路側帯を拡幅するというものである。研究員の橋本を中心に、豊田市では竹村地区(旧豊田一色線)と梅坪地区(梅坪西58号)の二路線を対象として、整備前後の自動車交通量や事故件数をデータ化。さらに、沿道住民の意識調査も含めておよそ一年かけて分析、効果を検討した。これらはすべて、研究所の自主事業として研究した。(狭幅員道路における交通安全対策に関する研究/平成14年度) その後、研究所は、研究員を委員として派遣した警察庁の委員会で、この施策の有効性を示した。警察庁通達としてこの施策は全国展開され、現在では全国において中央線抹消施策が交通安全対策として実施されている。この研究は、今なお、研究所に全国から問い合わせがあることからも、数ある実績のなかでも代表する研究の一つと言えよう。

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