2章 挑戦期 1995-2003( 平成7年 〜15年 )77抽出したデータのうち、事前の昼勤と事後の1直をAグループ、事前の夜勤と事後の2直をBグループの2つに分類。それぞれの分析と比較を行った。 調査の結果、交通行動においては、勤務形態変更後の1直と2直が交替する時間帯に、工場周辺の地域において明らかな渋滞が見られた。また、生活行動では、従業員と配偶者の生活時間のズレが顕著に見られ、なかでも買い物やレジャーといった時間変更が可能な行動と、仕事や送迎といった時間変更が不可能な行動がはっきりと識別でき、勤務形態変更前には見られなかった行動が事後には見られるなど、その影響の大きさがうかがえた。この調査結果は論文にまとめられ、学会などで発表されたほか、豊田市とトヨタ自動車へも個別に報告された。 アクティビティダイヤリー調査はその特性上、従業員とその配偶者の一日の生活行動を明るみにするものであった。そのため、抽出したデータには調査対象者のプライベートが垣間見えるものもあり、交通行動以外にもさまざまな分析結果が得られた。 このアクティビティダイヤリー調査は、研究所において自主研究の重要性を再認識させる研究となった。実践的研究はもとより自主研究も積極的に行い、それらを両立させることで研究の幅を広げていこうという機運が、研究部長の伊豆原を中心にこれ以後高まっていくのである。
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