交通まちづくりとともに
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1章  黎明期 1991-1994( 平成3年 〜6年 )45トなども細かく行った。 この実験により、歩車共存型の斜めにした駐車場はその使いやすさに加え、安全性や景観などが評価され、その有効性が確認されたのである。そして、豊田都市交通研究所にとって、実践的研究の扉を開いたとも言える研究事業であった。「交通まちづくり」とともに、地域との連携へ 実社会と協働での社会実験・調査はまさに地域のコミュニティづくりの根本とも言えるもので、21世紀の今日ではまちづくりには欠かせないものとなっているが、当時としては時代の先をいくものであった。 豊田都市交通研究所の研究の根本には「交通まちづくり」という発想がある。この「交通まちづくり」という言葉は、後に研究所所長となる太田勝敏が中心となって考案したものだが、当時からすでに既存していた「交通×まちづくり」や「交通面から考えるまちづくり」という観点ではなく、交通に関する地域の課題対応をベースに、住民・市民らも参加し、行政との協働によるアプローチで交通計画の在り方を表現するものとして考えられていた。 ここで紹介した保見団地での社会実験は、まさに「交通まちづくり」の考え方に沿った実験・

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