441章 黎明期 1991-1994( 平成3年 〜6年 ) 「ボンエルフ」とはオランダ語で「生活の庭」を意味し、歩道と車道の段差をなくし、路上続きの駐車場や緑地、休憩スペースなどを設け、生活道路を整備することを指す。道路の一部を歩車共有の駐車場とすることで、車は走行時に駐車場や緑地を避けなければならなくなる。これが減速につながり安全性も担保できるほか、違法路上駐車対策にも効果が得られるとされていた。 1990年代前半の豊田市にとって駐車場不足は大きな問題となっていた。特に実験を行った保見団地は3200世帯を抱える大規模団地にもかかわらず、一般家庭の自家用車の保有が急増していた昭和50年(1975)に入居が開始されたこともあり、駐車場が大幅に不足。駐車場の増設を随時行ってはきたがそれも限界に達し、おびただしい数の路上駐車が発生、さまざまな問題を引き起こしていた。 実験は、駐車場を仮設するかたちで行われ、歩道への乗り上げ駐車が多く発生していた総幅員約13メートルの道路で、延長約70メートルにおいて実施。住民のほか住宅・都市整備公団(現・都市再生機構/UR)の協力も得て行われた。 仮設駐車場は斜め駐車や片側直角駐車として設計され、29台分(増設3台分)の駐車スペースを確保、入り口にピクトグラムと補助標識を立て、運転手への注意喚起も施した。また従前と仮設後の両方で、通行する車のスピード測定やビデオ撮影(朝7時~夕方5時)、住民へのアンケー
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