交通まちづくりとともに
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1章  黎明期 1991-1994( 平成3年 〜6年 )432ユニークな研究機関としていち早く着手した「社会実験」保見団地で「ボンエルフ」駐車場仮設実験 豊田都市交通研究所では、創立当初からしばらくは文献の調査や現地調査の取りまとめを中心に行っていたが、研究所設立から2年後の平成5年(1993)11月、全国でもいち早く「社会実験」による施策評価に取り組んだ。今でこそさまざまな問題要因の洗い出しには欠かせないとされる社会実験であるが、当時ではその言葉自体も珍しく、ようやく建設省(現在の国土交通省)が使いはじめたばかりのころだった。 研究所が実施したのは、豊田市保見ヶ丘に位置する保見団地における「歩車共存型駐車場の有効性と設計に関する実験的研究」だ。研究所は、埼玉大学の久保田尚助教授(現・埼玉大学大学院教授)を主導者として実験を遂行した。同氏には、1980年代から関東で起こっていた住宅団地の駐車場不足問題に対して、ボンエルフ法を用いた社会実験を実施し、解決に導いていた実績があった。

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