174田都市交通研究所が所在する愛知県は、平成15年(2003)から16年連続で全国ワーストを記録している。そのうえ最近の救急医療、自動車の安全技術の発達と官民あげての交通安全啓発活動により、世の中の期待値は「交通死亡事故ゼロの実現」になっている。 平成27年(2015)のパリ協定で提唱されたグローバルな環境目標に日本もコミットしており、令和2年(2020)政府は脱酸素社会めざしカーボンニュートラル(温室効果ガスの国内排出量実質ゼロ)を達成するためのグリーン成長戦略を掲げた。かけがえのない地球環境を守るために、国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)にもクリーンエネルギーの活用や気候変動対策は盛り込まれている。こうして大気環境への期待値もこの30年で飛躍的に上がり、これを解決することは並大抵の努力ではできない水準となっている。 自動車保有数の伸びと少子高齢化に伴い、地方都市や中山間地では公共交通は需要低迷に歯止めがかからない一方で、運転免許のない学生や高齢者には生活上必須の移動手段であることには変わりがない。多くの地方自治体の公共交通を担う民間の交通運営会社は、収支率が悪化して撤退を余儀なくされ、「地域の足不足」による交通崩壊が叫ばれている。 難易度がレベルアップした諸課題に対しては、技術革新が不可欠の対策となる。昨今のDX(デジタルトランスフォーメーション)のうねりは、CASE(つながる、自動運転、シェアリング、
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