交通まちづくりとともに
154/202

4章  伸張期 2013-( 平成25年 〜 )149た。この自主研究活動を知った国土交通省中部運輸局からは委託が発生し、郊外の地域バスやタクシーなどの事業者に向けてアンケート調査が実施された。  これと併行して豊田市における経費試算と基本計画の策定も開始され、バスとタクシーの置き換えの有用性が見込める市街地周辺6地域(保見、つくばね、鞍ケ池、福祉(石野・ささゆり)、水源東、上郷)の対象路線が選定され、実証実験の実施が検討された。 その結果、タクシー事業者と台数が多く、それをバスと置き換えることでバス運行コスト削減割合が多く見込め、利便性の向上も期待できる鞍ケ池地区での実験の実現が具体化しはじめた。 その後も、鞍ケ池地区の地域住民とタクシー事業者、市役所、そして研究所のメンバーが実証実験の内容について協議を重ね、金銭の流れの仕組みや運行経費について熟考された。 こうして研究は着々と進んでいったが、ハードルもあった。「採算の合わない地域バスをどうにかしなければ」という思いは地元にも豊田市にもあったが、近辺の地区にはない事例だったこともあり「失敗するのでは」という不安を声に出す関係者も出ていた。そこで、すでに同様の仕組みで実験を実施していた静岡県富士宮市への視察を関係者らと行い、制度や手続きなどまで細かくヒアリングして、同意を得るに至った。

元のページ  ../index.html#154

このブックを見る